現在、新卒採用の市場感は「売り手市場」とされています。企業側にとっては新卒人材の確保が難しい状況ですが、逆にいえば「選んでもらえる企業」づくりに向けた、企業体質見直しのための良いタイミングであるともいえそうです。
今回は企業の採用担当者向けに、新卒における売り手市場と買い手市場の違いや現在の売り手市場の内情、今後の見通しや新卒採用を成功させるポイントまでを解説します。
- 売り手市場における新卒採用への影響
- 新卒売り手市場の今後
- 新卒売り手市場で採用を成功させるためのポイント
2. 売り手市場は新卒就活生に有利?実は「就職できない」現実も
3. 今の売り手市場はいつから?いつまで続く?
4. 売り手市場で新卒採用を成功させるには
5. 「成果が出ない」と思ったら企業体質の見直し時かも
6. スカウト採用におすすめ!「就活応縁くまもと」
新卒の売り手市場と買い手市場の違いとは?

新卒就活生の採用を意識したときに、まず理解しておきたいのは「新卒採用の市場感」です。企業側はこの「市場感」を把握しておくことで、新卒採用のスケジュールや予算のかけ方などを正しく掴むことができます。
まずは「売り手市場」と、その反対の市場となる「買い手市場」について理解しておきましょう。
POINT!
世の中が売り手市場であるか、買い手市場であるかは、さまざまな指標を参考に判断されます。そのひとつが、厚生労働省が全国の公共職業安定所(ハローワーク)の求職・就職状況をもとに発表する「有効求人倍率」です。
有効求人倍率が1より大きくなると、求人者数より求人数のほうが多くなるため「売り手市場」、有効求人倍率が1より小さくなると、その逆の「買い手市場」と判断されます。
ただし有効求人倍率はハローワークにおける数しか参考にしておらず、その他の休職・転職サービスや年齢別の状況などは加味していません。
参考:一般職業紹介状況(令和7年1月分)について|厚生労働省
大卒求人倍率調査は、リクルートワークス研究所が民間企業や大学生・大学院生に対して調査をおこない算出する、大卒者の求人倍率です。
大卒求人倍率調査によると、25年卒は1.75倍となっています。24年卒の1.71倍より0.04ポイント上昇しており、新卒は売り手市場であることが分かります。
こちらはさらに業種別の倍率調査や初任給についての調査もおこなっているため、企業の新卒採用担当者は必ず見ておきたい指標となっています。
売り手市場とは?
売り手市場とは、有効求人倍率が1以上であり、就職したい新卒就活生の数よりも企業が出す求人数の方が多い状況をいいます。
■「売り手市場」時における企業側のデメリットと課題
・新卒就活生にとって選択肢が多いため、企業の業種やアプローチの仕方によっては「自社が選ばれない」「内定辞退が増える」場合も
・自社を選んでもらうための施策実施や、企業体質が今の時代に合っているかの見直しなどが必要
・早期からのインターンフォローが求められやすく、新卒採用にかかる時間やコストが大きくなりやすい
買い手市場とは?
買い手市場は売り手市場と逆で、有効求人倍率が1以下であり、就職したい新卒就活生の数よりも企業が出す求人数の方が少ない状況をいいます。
■「買い手市場」時における企業側のメリットと課題
・少ない求人へ新卒就活生が殺到するため、企業側は優秀な人材を選んで確保しやすい
・新卒採用にかかる時間とコストを抑えやすい
・買い手市場の状況は景気の悪さを反映している場合も。採用には慎重な判断が必要なことも
売り手市場は新卒就活生に有利?実は「就職できない」現実も

「企業側の求人数に対して就活生が少ない」という状況は、多くの就活生にとって非常に有利な状況に見えますよね。実際に、いくつもの企業から内定を獲得できる新卒就活生がいるのも事実です。
しかし、なかには準備をして挑んだにも関わらず、不採用になってしまう学生も。なぜ「売り手市場の新卒なのに就職できない」ということが起こるのでしょうか?
倍率の高い求人に応募しているから
近年、大企業や公務員が新卒就活生の注目を大きく集めています。その理由として挙げられるのは、安定感の高さやキャリアの描きやすさなど。
しかし人気が高ければ、そのぶん応募数も増え、採用のハードルは高くなっていきます。「どうしてもこの企業に就職したい」と応募先を絞ってしまっている就活生は、なかなか就職が決まらない、という悩みに直面する場合があります。
企業のニーズと就活生の適性や希望が合っていないから
AIやロボットが多くの業務を担い始めた現在、「人間だからできる業務」を担える人材の価値が高まってきています。
もちろん新卒採用時には多くを求められませんが、業界・業種によっては、適性検査やコンピテンシー面接で「素質を見る」ことを重視する企業も。学力以外に、協調性やコミュニケーション力を求める企業が増えてきています。
POINT!
しっかりと自己分析ができている就活生のほうが「素質がある」とみなされ、早く内定が決まりやすい場合もあります。
今の新卒売り手市場はいつから?いつまで続く?

現在は新卒の売り手市場といわれており、この傾向は今後もしばらく続くとみられています。その理由としては少子高齢化や、働き方の多様化などによる人材不足が挙げられます。ただし26年卒・27年卒やそれ以降においては、業種・職種による市場感の違いが大きくなるでしょう。
現在すでに介護や看護、IT業界や流通業界、さらに中小企業に関しては大きく人手不足となっており、「売り手市場」は継続する見込みです。ただし、従業員数が1,000人を超える大企業などは人気が高く、就活生が殺到しやすいため「買い手市場」ともいえる市場感が続きそうです。
売り手市場で新卒採用を成功させるには

新卒売り手市場では「選んでもらえる企業」になるために、企業側はさまざまな努力やアプローチが必要になります。とはいえ応募者が集まっても、内定辞退や就職後のミスマッチが起こってしまっては本末転倒。
ここでは、新卒売り手市場において企業が力を入れるべきポイントをご紹介します。
早期から母集団形成と信頼関係の構築に取り組む
自社に興味を持ってもらうための母集団形成は、早期かつ継続的におこなう必要があります。定期的な大学内イベントへの参加やSNSの活用など、学生の目に触れやすい場所での情報発信は効果的だといえるでしょう。
短期・長期インターンシップを導入する
近年はインターンシップを導入する企業が増えており、新卒就活生が就職先を選ぶうえでの重要なイベントになっています。
25年卒からガイドラインが変更になり「採用直結型」と呼ばれる長期インターンシップが注目されていますが、就活生からは依然として、学業や生活に負担のかかりにくい短期インターンシップが人気を集めています。
POINT!
売り手市場では、インターンシップはぜひ導入しておきたい施策のひとつです。
自社の魅力ややりがいを分かりやすく伝える
新卒売り手市場において、企業の魅力を就活生に理解してもらうことはとても重要です。ただし、企業が魅力だと考えていることが、必ずしも就活生にとっても魅力的に映っているかどうかは分かりません。
そこで効果的なのが、就活生と企業がカジュアルに交流できる場を設けることです。今の就活生が何を求めているのか、企業がどのようにアプローチすればよいのかなど、意見交換によって明確にしていくことが大切です。
コンピテンシー面接や適性検査でミスマッチを防ぐ
新卒売り手市場において「とにかく人数を揃えたい」と採用を急いでしまうシーンはあるかもしれません。しかし安易な採用はミスマッチによる退職や、職場内の人間関係悪化を招いてしまう恐れがあります。
売り手市場においても、企業の将来を考えた採用は必要不可欠です。企業に必要な人材を明確にするためのコンピテンシーの定義やコンピテンシー面接、適性検査の導入などをおこない、効果的な採用をおこないましょう。
「新卒採用の成果が出ない」と思ったら企業体質の見直し時かも

思ったような採用がしにくい新卒売り手市場ですが、働き方の多様化が進む現在では、企業の知名度や活動内容により「売り手市場だけど採用や育成は成功している」という企業も多くあります。
なぜか就活生が集まらない、という状況が続くなら、企業の体質が時代や就活生のニーズに合っていない可能性も。一度、企業体質を見直してみる必要があるかもしれません。また、企業の魅力を適切にアピールできているかどうかも、再確認しましょう。
「スカウト型採用」なら、企業のニーズに合った就活生へ直接アプローチできるため、採用の効率化を図れます。新卒売り手市場だからこそ、気になる就活生へのダイレクトアプローチで熱意を伝えてみてはいかがでしょうか。
スカウト採用におすすめ!「就活応縁くまもと」
最後にスカウト採用におすすめの「就活応縁くまもと」を紹介します。就活応縁くまもとは、熊本で働きたい新卒学生に特化した県内初の採用支援サイトです。特におすすめしたい就活応縁くまもとの特徴は次の4つ。
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